透明人間をテーマにした、ミステリ・SF選集である。
槙尾栄「透明の人間」は、翻案なのだろうか。ウェルズの「透明人間」を読んだことがないので判断できないのだが、そちらの粗筋をネットで読むと、それなりに槙尾版に取り込まれているようである。展開に特に捻りはないが、典型例として味読に値する珍品。
草野唯雄「透明願望」は、着地点が意外。その意外さは、ミステリとSFとが混在しているアンソロジーだからこそ効果が発揮された面もある。都筑道夫「透明人間がやってきた」は、これは切ない。
横田順彌「見えない敵」は、透明人間を相手にかくれんぼをする話。見えない相手を見つける上手いアイデアを期待したのだが、この作者では期待する方が間違っていた。
●お願いしていた本が届いた。
『亀は死を招く』 E・フェラーズ 論創社。
なんと今年初の本買いである。