累風庵閑日録

本と日常の徒然

『フランケンシュタインの工場』 E・D・ホック 国書刊行会

●『フランケンシュタインの工場』 E・D・ホック 国書刊行会 読了。

 なんとも派手な作品である。本土との連絡手段を絶たれた孤島で、ほい一人死んだ、それもう一人死んだ、とコロコロ殺されてゆく。個々の殺人について深く検討する暇もなく、連続殺人のサスペンスで物語が引っ張られている。真相を読むと、作者が上手くいくように書いたから上手くいったんでしょ、という点がちょいちょいあって、冷静になる。

 だが、感心する部分もあるのだ。ロジックが(伏字)ために用いられている点は面白い。ある人物の設定にはミステリらしい外連味があって、さらにはその設定が事件と密接に結びついているのも好ましい。そればかりではない。物語の背景を成す裏事情とも結びついていることが分かってくる。結局事件そのものよりも、人物と事件と背景との緊密な関係性が一番面白かった。

●注文していた冊子が届いた。翻訳道楽の新刊、Q・パトリック集の第二弾である。#63と#64とに相当する。
「怯える女家主」 Q・パトリック
「FINIS―これでおしまい」 Q・パトリック
付録として「殺しは一幕で終わる」 M・アヴァロン

 そして今回失敗してしまった。うっかり注文し忘れたと思って、前回発行の#58~#62をもう一度注文してしまったのだ。今になって過去の日記を検索したら、購入した記録がしっかりヒットするではないか。今回発注するに際して確認のために検索した先週も当然ヒットしたはずなのに、なぜ気付かなかったのか。間抜けな話である。

●ところで購入済みの翻訳道楽のうち、#37から前回購入分の#62までが部屋のどこかに埋もれていて見つからないのだが。なんとしたことか。