●『シャーロック・ホームズの紫焔』 長沼弘毅 文藝春秋 読了。
私の興味如何によって、面白く読めた章とそうでもない章とにはっきり分かれた本であった。第三章「ホームズと煙草」は、煙草に関する雑学が興味深い。第四章「タイヤの問題」は、作中の記述から新たな可能性を導いてみせる展開がスリリング。
その一方で、ホームズ作品の事件発生年がいつか、という視点がベースになっている章は、その面白さにあまり共感できない。知らんがな、と思ってしまう。私はホームズシリーズをフィクションとして楽しんでいる。現実の時間軸とすりあわせるアプローチは、確実に私の興味の埒外である。