累風庵閑日録

本と日常の徒然

2016-01-01から1年間の記事一覧

『妖異百物語 第二夜』 鮎川哲也・芦辺拓編 出版芸術社

●『妖異百物語 第二夜』 鮎川哲也・芦辺拓編 出版芸術社 読了。 「第一夜」を読んだのはもう三年前になる。今回ようやく「第二夜」を読んだ。帯には「恐怖小説名作選」と謳われているが、ミステリからSFまで、バラエティに富んだ作品が集められている。戦…

ネズミの血の冒険

●国会図書館に依頼していた複写資料が届いた。雑誌『EQ』や『ミステリマガジン』に訳載されたきりになっている、クイーンのラジオドラマシナリオである。「暗闇の弾丸」「放火狂の冒険」「ネズミの血の冒険」「一本足の男の冒険」「怯えたスターの冒険」「…

『暗闇の鬼ごっこ』 B・ケンドリック 論創社

●『暗闇の鬼ごっこ』 B・ケンドリック 論創社 読了。 謎の設定はなかなか魅力的。万年筆、小銭、文鎮、ブラインドの紐……手掛かりが有り余るほどなのに、それらの意味が分からない。そんな状況で、次々と「自殺」してゆく関係者達。 名探偵のお約束である、…

マンドレークの声

●お願いしていた本が届いた。『マンドレークの声』 杉みき子 龜鳴屋石川県の出版社「龜鳴屋」さんから出た、ミステリ関連の本である。副題は「杉みき子のミステリ世界」とある。本書のことは、ツイッターで知った。こういう情報をサクッと得られるのが、ツイ…

『迷走パズル』 P・クェンティン 創元推理文庫

●『迷走パズル』 P・クェンティン 創元推理文庫 読了。 探偵役が、事件を解決しなければならない切実な理由を持っている。いわば探偵自身の事件である。その緊迫感が先を読ませる強い原動力となっている点は、大いに買う。だが、犯人の条件が(伏字)という…

オシリスの眼

●最寄りの書店になかった本を、わざわざ車で三十分ほどかけて買いに行く。『オシリスの眼』 R・A・フリーマン ちくま文庫ROM叢書版が手元にあるけど、そこはそれ。

街中うろうろ

●電車に乗って街に出る。東京都千代田区にある国立公文書館で、「書物を愛する人々」と題する展示を観るのである。重要文化財の書物が何点も展示されており、なかでも、完本は世界でここだけという宋時代の韻書「宋版鋸宋広韻(そうはんきょそうこういん)」…

『人魚とビスケット』 J・M・スコット 創元推理文庫

●『人魚とビスケット』 J・M・スコット 創元推理文庫 読了。 序盤の設定がいい感じ。語り手の境遇に、身につまされるものがある。輝かしい自由を象徴する大海を夢想しながら、生活費を稼ぐために興味のない仕事を続けなければならない日々。気心の知れた仲…

『エラリー・クイーンの事件簿1』 E・クイーン 創元推理文庫

●『エラリー・クイーンの事件簿1』 E・クイーン 創元推理文庫 読了。「消えた死体」 映画脚本を、クイーンとは別の書き手が小説に仕立てたのだそうな。ということはつまり、パスティシュのようなものである。最初からパスティシュだと思って読めば、これが…

『淑女怪盗ジェーンの冒険』 E・ウォーレス 論創社

●『淑女怪盗ジェーンの冒険』 E・ウォーレス 論創社 読了。 なにしろ作者があの大流行大衆作家ウォーレスだから、内容はさっと読んですぐに忘れればいい他愛ないスリラーだろうと思っていた。そうやって期待値を下げて臨んだおかげか、確かに通俗味が勝って…

緑の髪の娘

●昨日仕込んでおいたイクラ醤油漬けで、今日は朝からイクラ丼♪……さすがに朝晩喰うと、くどくなる。●電車に乗って街に出て、書店で本を買う。『緑の髪の娘』 S・ハイランド 論創社『ネロ・ウルフの事件簿 アーチー・グッドウィン少佐編』 R・スタウト 論創…

『いい加減な遺骸』 C・D・キング 論創社

●『いい加減な遺骸』 C・D・キング 論創社 読了。 毒殺手段の真相はお世辞にもスマートは言えず、ちょいと拍子抜け。だが、そのネタを核にして構築された謎の演出とロジックとはよく考えられていて、ミステリの面白さを十分に味わえる。また、毒殺手段と密…

『魔婦の足跡』 香山滋 扶桑社文庫

●『魔婦の足跡』 香山滋 扶桑社文庫 読了。 表題作は、ちょいとお色気を漂わせた妖女ものサスペンス。こういうのはあまり趣味ではなく、ずっと平熱のまま読み進める。ところが、終盤の展開はまるで予想外であった。そんじょそこらのサスペンス小説の枠に到底…

保篠龍緒探偵小説選

●書店に寄って本を買う。『保篠龍緒探偵小説選I』 論創社『挿絵叢書 竹中英太郎(三) エロ・グロ・ナンセンス』 末永昭二編 皓星社論創海外はまだ見当たらなかった。

総括

●ここしばらく、ジムのサボり癖がついてしまっている。今月はなんと、四回しか行ってない。いかんいかん。●今月の総括。買った本:十三冊読んだ本:十一冊今月は買い過ぎた。

『怪盗X・Y・Z』 横溝正史 角川文庫

●『怪盗X・Y・Z』 横溝正史 角川文庫 読了。ついでに、なぜか文庫には未収録の第四話「おりの中の男」も併せて読む。 怪盗が事件解明にも手を出して、単なる探偵対怪盗の対決物語になっていないのが面白い。また、主人公の探偵小僧よりも怪盗X・Y・Zの…

刺青師の娘

●午前中は野暮用。●雑誌『小説幻冬 創刊号』 幻冬舎 を購入。かねてより存じ上げていたお方が、なんとミステリ作家としてプロデビューして、作品を発表しているのである。これは買わずばなるまい。●「横溝正史の「左門捕物帳」をちゃんと読む」プロジェクト…

『凶悪の浜』 R・マクドナルド 創元推理文庫

●『凶悪の浜』 R・マクドナルド 創元推理文庫 読了。 いかにもその昔のハードボイルドミステリらしい展開が嬉しい。人探しを依頼された探偵が、行く先々で死体に出くわすし、頭を殴られて気絶するし。暗黒街の顔役も出てくるし、ちょっとした格闘シーンもあ…

『紺碧海岸のメグレ』 G・シムノン 論創社

●裸眼だと周囲が何もかも曖昧になる。パソコンで何かやるにしても、顔を画面に近づけなければならず、姿勢が悪くなってやたらに疲れる。夕方になってようやく、新しい眼鏡ができてきた。やれやれ。●『紺碧海岸のメグレ』 G・シムノン 論創社 読了。 遠い昔…

『「エロティック・ミステリー」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●眼鏡が壊れた。鼻の部分でレンズが割れて、フレームがないタイプだったのでそのまま真っ二つである。慌てて眼鏡屋に駆け込んだ。弦の部分にはダメージはないので、そいつを利用してレンズのみを交換すると安くつくが、十日ほどかかるという。とてもそんなに…

浴室には誰もいない

●昨日の日記は読書会の話に特化するために、一部省略した。昨日は会場に向かう前に、書店に寄って本を購入。『鉄道ミステリーの系譜』 原口隆行 交通新聞社新書『くじ』 S・ジャクスン ハヤカワ文庫『浴室には誰もいない』 C・ワトスン 創元推理文庫●今日…

第三回横溝読書会

●第三回横溝読書会が、都内某所にて開催された。参加者は司会者を含め総勢六名という、小ぢんまりとした会である。最寄駅から徒歩十分ほど、幹事さんに予約していただいた会場に落ち着いて、さて始まり。●今回の課題図書は、昭和十一年から十二年にかけて雑…

『夜光虫』 横溝正史 角川文庫

●『夜光虫』 横溝正史 角川文庫 読了。 華々しい道具立てと怒濤の展開でつづる通俗スリラー。器は現代を舞台にした探偵小説だが、内容は時代伝奇小説の味わいが濃厚である。見せ場は古風な形容を駆使してきちんと盛り上げ、まともに書けばそれなりのページ数…

芸術家の血

●書店に寄って本を買う。『シャーロック・ホームズの事件録 芸術家の血』 B・マクバード ハーパーBOOKSホームズ本は、手を出す対象を少し絞ろうと思う。

中断

●光文社文庫のミステリアンソロジーを読んでいる。そこそこ快調だが、半分まで読んでいったん中断。明日からは、今週末に開催される第三回横溝読書会の課題図書を読み始める。

『七人目の陪審員』 F・ディドロ 論創社

●『七人目の陪審員』 F・ディドロ 論創社 読了。 街の安寧を何よりも優先する、健全な市民社会。そのいい加減さ、うさん臭さ、愚かさ、おぞましさを、シニカルに描く。途中までは皮肉な書きっぷりを笑って楽しめていたのだが、だんだんしんどくなってきた。…

『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 いやはや、こいつは傑作。物語の軽快さが尋常じゃない。主人公の男女ペアが事件の謎を探るために東奔西走する。その活躍が活き活きと描かれていて素晴らしく、ぐいぐい…

『古書収集十番勝負』 紀田順一郎 創元推理文庫

●体調悪化をまだひきずっている。中年と呼ばれる歳になって以降、回復にやけに日数がかかるようになってしまった。自重してジムは休む。最後にジムに行ったのは、先日の中国地方周遊旅行の前だ。以来なんとなくサボり癖が付いてしまっていた。これではいけな…

『グレイストーンズ屋敷殺人事件』 G・ヘイヤー 論創社

●野暮用を終えて忙しさも一段落。やれやれ。と思ったら、夕方から体調を崩した。熱こそないものの、涙鼻水くしゃみのエンドレス状態である。ここ数日喉が痛かったから、嫌な予感はしていた。●くしゃみしまくりで、頭がぼおっとなって、集中力がなくなる前に…

野暮用

●今週末は野暮用があってやけに忙しく、本を読む時間が確保できない。土曜に手に取った論創海外を、この二日間で半分ちょいしか読めなかった。まあこんな日もある、と思うしかないのだが。