累風庵閑日録

本と日常の徒然

2017-01-01から1年間の記事一覧

『真夜中に唄う島』 朝山蜻一 扶桑社文庫

●『真夜中に唄う島』 朝山蜻一 扶桑社文庫 読了。 表題作は、エロティック&ナンセンスなホラ咄から始まって、次第にグロテスク&ナンセンスな結末へと向かってゆく。たまに読むならこういうのも悪くはない。ところで巻末解説は、単なるストーリーの解析に止…

『ベンスン殺人事件』 V・ダイン 平凡社

●昨日の寒さで体調を崩し、今日は一日寝てた。●数日前から読んでいた 『ベンスン殺人事件』 V・ダイン 平凡社 を、布団の中で読了。 去年読んだステーマン「三人の中の一人」には、「ベンスン」に言及されている個所がいくつもある。それで気になって、再読…

『剣が謎を斬る』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『剣が謎を斬る』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 「甦る推理雑誌」に続くアンソロジー・シリーズ、「名作で読む推理小説史」の一巻目である。「時代ミステリー傑作選」という副題が付いている。特に面白く読めた作品をコメントなしで挙げておく…

太宰治の辞書

●今日は飲み会なので、昼過ぎに出かける。●集合場所に行く前に、書店に寄って本を買う。『太宰治の辞書』 北村薫 創元推理文庫『少女ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫最近は、内外問わず現役作家の本をあまり買わなくなった。わずかな…

『俳優パズル』 P・クエンティン 創元推理文庫

●『俳優パズル』 P・クエンティン 創元推理文庫 読了。 新作芝居のリハーサルが進行中。この芝居の成功は、多くの関係者にとって人生の再起に直結しており、極めて重大な意味を持つ。ところが、開幕が危ぶまれるようなトラブルが一難去ってまた一難式に続出…

岩田賛探偵小説選

●書店に寄って本を買う。『死者はふたたび』 A・R・ロング 論創社『<サーカス・クイーン号>事件』 C・ナイト 論創社『岩田賛探偵小説選』 論創社新刊で買うのはほとんど論創社の本ばかりである。それにしてもこの三冊だけで、ほぼ一万円に達しようという…

『ミドル・テンプルの殺人』 J・S・フレッチャー 論創社

●『ミドル・テンプルの殺人』 J・S・フレッチャー 論創社 読了。 フレッチャーを読むのも三作目である。先の二作から、その作風がなんとなく見えている。それはつまり、◆展開の必然性よりストーリーを動かすことを優先して、大きな偶然を多用する◆ミステリ…

『有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー』 有栖川有栖編 角川文庫

●『有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー』 有栖川有栖編 角川文庫 読了。 本格ミステリに属する様々なタイプの作品を、高い水準で揃えた上質のアンソロジーであった。特に気に入ったのは以下の二点。巽昌章「埋もれた悪意」は、多くの手掛かりに基づいた…

死を招く女

●お願いしていた本が届いた。『死を招く女』 D・エームズ ぶんしん出版あの『世界ミステリ作家事典 本格派篇』にも載っているという、クラシックミステリである。普通なら存在すら気付かない本のはずだが、某ミステリ系ブログの記述がきっかけで、出版社に…

『誰もがポオを読んでいた』 A・R・ロング 論創社

●『誰もがポオを読んでいた』 A・R・ロング 論創社 読了。 やあ、これは面白い。なかなかの快作である。ポオの作品に見立てた連続殺人という外連味が嬉しい。こういう理由でこの人物が犯人で、動機や犯行手順はこれこれで、という推論が、関係者それぞれに…

『夜間病棟』 M・G・エバハート 論創社

●『夜間病棟』 M・G・エバハート 論創社 読了。 ミステリのサブジャンルのうち、いわゆるロマンティック・サスペンスというやつが、どうにもこうにも好きになれない。そんなロマサスの代表的な書き手エバハートの著作なので、さぞや、と警戒しながら手に取…

はしご酒

●昨日の飲み会の参加者は、当初は三人、途中から一人合流して四人となった。十五時過ぎから始めて、なんだかんだで七軒行った。一軒当たりの滞在時間は短く、飲み喰いの量もさほどではなかったけれど、それだけ行ったらトータルで、摂取カロリー量も摂取アル…

総括

●今月の総括。買った本:十一冊読んだ本:十冊今月は買いすぎ。読む方は黒岩涙香にてこずって、十一冊目に手が出せなかった。●今日は飲み会なので、午後からでかける。おとなしく飲みたいものである。

雪と毒杯

●書店に寄って本を買う。『雪と毒杯』 E・ピーターズ 創元推理文庫●ちょっと気になるコンビニコミックがある。買おうと思って何件かのコンビニを巡ってみるが、どこにもない。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、ことごとく外れで…

『黒岩涙香集』 伊藤秀雄編 ちくま文庫

●『黒岩涙香集』 伊藤秀雄編 ちくま文庫 読了。 明治探偵冒険小説集の第一巻である。「幽霊塔」は三十年以上昔、旺文社文庫で読んだ。その時のことはほとんど覚えておらず、ただぼんやりとしんどかった印象が残っているのみである。今回さぞかし読み辛いこと…

殺す風

●書店に寄って、創元推理文庫の復刊フェアから二冊購入。『殺す風』 M・ミラー 創元推理文庫『黒いカーテン』 W・アイリッシュ 創元推理文庫今月はちと買い過ぎである。

怪人ジキル

●注文していた本が届いた。『怪人ジキル』 波野次郎 盛林堂ミステリアス文庫●本はちくま文庫の黒岩涙香を読んでいる。なかなかてこずっており、読了までにはもう二、三日かかりそう。

大密室

●書店に寄って本を買う。『日本社会再考』 網野善彦 ちくま学芸文庫●先日読んだピエール・ボアローの既訳本をチェックしてみると、面白そうだが持っていない本がある。ネット古書店を確認するとたまたま在庫があったので、この際買っておくことにした。『大…

『南無三甚内』 横溝正史 文松堂

●『南無三甚内』 横溝正史 文松堂 読了。 不知火甚内が主人公の捕物シリーズ四編と、非シリーズもの四編とを収録した時代小説集。具体的な収録作は、「南無三甚内」「比丘尼御前」「二人星之助」「幽霊人形」以上が不知火甚内シリーズ。甚内は、実質的には不…

『死が最後にやってくる』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『死が最後にやってくる』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 いやはや、こいつは面白い。 登場人物が類型的、と言うと悪口になってしまうがそうではない。久しぶりに読んだクリスティーは、その分かりやすさに驚く。よくある強権的な家長と、どこ…

『震える石』 P・ボアロー 論創社

●『震える石』 P・ボアロー 論創社 読了。 怪人物が屋敷の住人に対して襲撃を繰り返す、サスペンス色の強い作品。スピーディーな展開に、犯人の消失や不可解な移動といった不可能興味が散りばめられており、読んでいる間はなかなか面白い。だが肝心の、事件…

腰元刺青死美人

●横溝関連プロジェクト「人形佐七映画のシナリオを読む」の第二回は、新東宝で昭和三十三年に作られた「腰元刺青死美人」と、原作の「女刺青師」とを読むことにする。●まずは原作を読む。今回手に取ったのは、昭和二十八年に同光社から出た『新作捕物選 人形…

『香山滋集 魔境原人』 ちくま文庫

●『香山滋集 魔境原人』 ちくま文庫 読了。 以前にも書いたが、私にとって香山滋は出会うのが遅すぎた作家である。感受性も想像力も今より柔軟だった昔に読んでいれば、ハマったかもしれない。今となっては、似たようなパターンの繰り返しに思えて、通読する…

『北村薫の本格ミステリ・ライブラリー』 北村薫編 角川文庫

●『北村薫の本格ミステリ・ライブラリー』 北村薫編 角川文庫 読了。 レナード・トンプスンの二作とロバート・アーサー「ガラスの橋」は、それぞれぱっと情景が目に浮かぶシンプルなネタがお見事。深見豪「ケーキ箱」も同様にシンプルでイメージしやすい良ネ…

『「宝石」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『「宝石」傑作選』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 川島郁夫「或る自白」は、他人がそう都合よく動くかよ、という点に引っかかるけれども、核となるアイデアはなかなか面白い。宮野叢子「薔薇の処女」は意外性は少ないが、ゆっくりと醸成される…

上映会

●某所で古典落語のDVD上映会。落語を聴くのは久しぶり。●落語に行ったりだらだらしたりで、読書ははかどらない。

鉄路のオベリスト

●書店に寄って本を買う。『鉄路のオベリスト』 C・D・キング 論創社『霧の島のかがり火』 M・スチュアート 論創社『いきどまり鉄道の旅』 北尾トロ 河出文庫三冊目は衝動買い。衝動買いは自分に強く戒めているにもかかわらず、ついやってもた。●河出文庫…

『盗まれた指』 S・A・ステーマン 論創社

●『盗まれた指』 S・A・ステーマン 論創社 読了。 ううむ、これは厳しい。オープニングのゴシック・スリラーめいた雰囲気は悪くないし、奇妙な二重毒殺事件と切られた指という状況は魅力的。真相だってなかなか意欲的なアイデアではある。けれど、そういっ…

『&lt;ネロ・ウルフの事件簿&gt; アーチー・グッドウィン少佐編』 R・スタウト 論創社

●『<ネロ・ウルフの事件簿> アーチー・グッドウィン少佐編』 R・スタウト 論創社 読了。 ミステリの仕掛けという点では、ちと気持ちが醒める部分がないではない。が、そんなことがどうでもよくなるほど、ストーリーも、キャラクターも、彼ら同士の掛け合い…

『緑の髪の娘』 S・ハイランド 論創社

●『緑の髪の娘』 S・ハイランド 論創社 読了。 繊維工場の染料の大釜で何時間も煮込まれた死体、というインパクトが凄まじい。だがその後の展開は、どこかずっこけたような捜査陣が繰り広げるドタバタコメディの様相を呈してくる。捜査の方向性は大きなうね…