累風庵閑日録

本と日常の徒然

2019-01-01から1年間の記事一覧

ミス・ピンカートン

●お願いしていた本が届いた。 『ミス・ピンカートン』 M・R・ラインハート ヒラヤマ探偵文庫 ●昨日の日記で、現在予約中・注文中の本が四冊あると書いた。上記の本がそのうちの一冊である。その後某所から連絡をいただいて、さらに二冊注文中だったことを…

首のない女

●取り寄せを依頼していた本が届いたというので、受け取りのために書店に寄る。ついでに別の新刊も購入。 『思考機械 完全版 第2巻』 J・フットレル 作品社 『首のない女』 C・ロースン 原書房 ●注文していた本が届いた。 『仮面城』 大下宇陀児 東都我刊…

『横溝正史翻訳コレクション 鍾乳洞殺人事件/二輪馬車の秘密』 ウィップル/ヒューム 扶桑社文庫

●『横溝正史翻訳コレクション 鍾乳洞殺人事件/二輪馬車の秘密』 ウィップル/ヒューム 扶桑社文庫 読了。 横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十四回として、「二輪馬車の秘密」を読んだ。同時収録の「鍾乳洞殺人事件」は先月の第十三回…

『殺す・集める・読む』 高山宏 創元ライブラリ

●『殺す・集める・読む』 高山宏 創元ライブラリ 読了。 「推理小説特殊講義」という副題が付いている。こいつは手強い。私の読解力では少々手に余る。さあて、全体の三~四割くらいは理解できただろうか。理解できたと思い込んでいる部分については、興味深…

『密室殺人』 R・ペニー 論創社

●『密室殺人』 R・ペニー 論創社 読了。 何者かが陰湿ないたずらを繰り返す展開は、どうも好みではない。本筋の事件がなかなか起きず、じれったい。読了してみると、満足感はまずまず。読者への挑戦が挿入されているのも、そしてその設問も、ちょいと気が利…

『古書ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『古書ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 甲賀三郎「焦げた聖書」は、解決部分の荒っぽさが笑ってしまうほど。けれど解決に至るまでの、謎がどんどん広がってゆく展開はなかなか読ませる。二木悦子「倉の中の実験」は、二十年後…

カラオケに突入

●昨晩、とある飲み会の流れで朝までのカラオケに突入した。そんな遊びをやっていい年齢ではないんだけども。おかげで今日は半日使い物にならず。本を少しだけ読む。

『世紀の犯罪』 A・アボット 論創社

●『世紀の犯罪』 A・アボット 論創社 読了。 五年前、黒白書房版を湘南探偵倶楽部の復刻本で読んだときは、あまりいい印象を持たなかった。会話が直訳調でぎこちなく、そういった個所に出くわすたびに気持ちが醒める。その点、今回の新訳は安心して読めた。…

『大下宇陀児探偵小説選I』 論創社

●『大下宇陀児探偵小説選I』 論創社 読了。 メインの長編「蛭川博士」は、なかなかの快作であった。前半は、殺人事件の地道な捜査と不良少年達の騙しあいとが並行して語られる。錯綜する展開は、ページをめくらせる力十分である。中盤になると、主人公の探…

『悪女パズル』 P・クェンティン 扶桑社ミステリー

●『悪女パズル』 P・クェンティン 扶桑社ミステリー 読了。 こいつは傑作。次々と起きる、動機不明の殺人。展開の速さと起伏の大きさとで、物語がぐいぐい進む。結末の意外性は(伏字)てしまうダイナミックなもので。この犯人にしてこの犯罪あり。真相が明…

『誰そ彼の殺人』 小松亜由美

●『誰そ彼の殺人』 小松亜由美 幻冬舎 読了。 収録の四編のうち、三編は初出誌で読んでいる。今回はその時の感想をほぼそのまま再録する。 「恙なき遺体」 現役の解剖技官でなければ書けない、様々なディテイルが実に面白い。だが、それはあくまで装飾として…

幻の探偵作家を求めて

●書店に寄って本を買う。 『幻の探偵作家を求めて 完全版 上』 日下三蔵編 論創社 『フラックスマン・ロウの心霊探究』 E&H・ヘロン アトリエサード 『幻の探偵作家を求めて』は元版が手元にあるのだが、「完全版」と銘打たれていたのでは買わずばなるま…

『守友恒探偵小説選』 論創社

●『守友恒探偵小説選』 論創社 読了。 収録作中のベストは「死線の花」で、複数のネタを少ないページに盛り込んだ高密度の良品であった。結末の切れ味と、そこに漂う抒情性も買う。他に気に入ったのは、語り口が軽快な「燻製シラノ」と、構成がしっかりして…

総括

●今月の総括。買った本:十冊読んだ本:十冊 今月も積ん読が減らなかった。買う本は厳選しているつもりなのだが、それでもぜひ買っておきたい魅力的な本が多すぎるのである。

『十一番目の災い』 N・ベロウ 論創社

●『十一番目の災い』 N・ベロウ 論創社 読了。 なにやら不審な品を扱う犯罪組織。そんな組織が絡む殺人事件を題材にしたスリラーである。要所要所で偶然を大胆に取り入れ、起伏の大きさと展開の速さとで読ませるタイプ。事件の謎が明らかになる段取りは、特…

世紀の犯罪

●お願いしていた本が届いた。 『世紀の犯罪』 A・アボット 論創社 『密室殺人』 R・ペニー 論創社 注目は『世紀の犯罪』である。横溝正史の某作品との関連が指摘されているのだ。訳者あとがきや巻末解説にその辺りの情報を期待していたのだが、残念ながら…

「鍾乳洞殺人事件」

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十三回として、扶桑社文庫の『横溝正史翻訳コレクション』からK・D・ウィップルの「鍾乳洞殺人事件」を読む。 派手な事件とスピーディーな展開、そして少々心細い解決というのは、以前読んだ『ルー…

『幻の名探偵』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『幻の名探偵』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 以下の二編が特に秀逸。甲賀三郎「拾った和銅開珍」は、落語か昔の笑い話にでも出てきそうなシンプルなネタが好ましい。葛山二郎「古銭鑑賞家の死」は、いくつもの伏線がちょっと感心するような真…

『クイーン警視自身の事件』 E・クイーン ハヤカワ文庫

●『クイーン警視自身の事件』 E・クイーン ハヤカワ文庫 読了。 引退したリチャード・クイーン元警視が主人公の、スピードと起伏とで読ませる作品である。けれども単純なスリラーではない。結末に至って、前半のとある描写の意味が分かる。意味が分かると、…

アリバイ

●書店に寄って本を買う。 『アリバイ』 A・クリスティー 原書房 『シャーロック・ホームズの事件録 眠らぬ亡霊』 B・マクバード ハーパーBOOKS 原書房がクラシックミステリに戻ってきた。まずはめでたい。

『地下鉄伸公』 三木蒐一 東成社

●『地下鉄伸公』 三木蒐一 東成社 読了。 先日まとまめて読んだ地下鉄サムの流れで、積ん読だったこの本を手に取ってみた。昭和二十七年にユーモア小説全集の第十八巻として刊行されたもので、七編が収録されている。作者の発想のきっかけは地下鉄サムだった…

『戦前探偵小説四人衆』 論創社

●『戦前探偵小説四人衆』 論創社 読了。 一冊にまとめるには作品量が足りない作家を四人集めて、一冊に仕立てたという好企画。その四人とは、羽志主水、水上呂理、星田三平、米田三星である。 最も気に入ったのが、今まで「監獄部屋」しか知らなかった羽志主…

『ソーンダイク博士』 フリーマン 改造社

●『ソーンダイク博士』 フリーマン 改造社 読了。 世界大衆文学全集の第六十巻である。ストーリーの起伏も真相の意外性もさほどではない。興味の中心は、博士が何に気付いてどういう検証実験をしたかにある。これがどうも、やけに面白い。結末に至って初めて…

『大倉燁子探偵小説選』 論創社

●『大倉燁子探偵小説選』 論創社 読了。 手に取ったのは先週の日曜だが、内容に乗れずに中断して別の本に寄り道して、今日になってどうにか読了。とうとう最後まで気分は醒めたままであった。詳しくは書かないが、作者のスタイルは私の好みから遠く隔たって…

『おしゃべり時計の秘密』 F・グルーバー 論創社

●『おしゃべり時計の秘密』 F・グルーバー 論創社 読了。 相変わらず素寒貧なジョニーとサム。価値がありそうでなさそうで何か裏がありそうな「おしゃべり時計」を巡る騒動に、半ば自主的に巻き込まれてゆく。事件に金策に懸命に駆けずり回るジョニーと、ぶ…

『奇術探偵曾我佳城全集』 泡坂妻夫 講談社

●『奇術探偵曾我佳城全集』 泡坂妻夫 講談社 読了。 「白いハンカチーフ」と「バースデイロープ」は、あれこもれも伏線だったのか、と驚く。「消える銃弾」は、何故(伏字)たのか、という視点が良い。「ジグザグ」は、犯行の経緯にはあまり感銘を受けなかっ…

鮎川哲也探偵小説選

●お願いしている定期購読の本が届いた。 『鮎川哲也探偵小説選II』 論創社 『渡辺啓助探偵小説選I』 論創社 鮎川哲也が特に嬉しい。

すべては死にゆく

●お願いしていた本が届いた。 『すべては死にゆく』 L・ブロック 二見書房 今年になって初の古本買いである。 ●日常の買い物がてら書店にも寄って本を買う。 『のりもの勝席ガイド 2019-2020』 イカロス出版 今年もこのムックの刊行時季になった。…

『死者との誓い』 L・ブロック 二見文庫

●『死者との誓い』 L・ブロック 二見文庫 読了。 マット・スカダーシリーズの第十一作である。まず、事件が面白い。通り魔的な射殺事件で、容疑者はすぐに逮捕された。解決があまりに早く単純だったので、警察は捜査の常道である被害者の身辺調査をやってい…

金時計

●お願いしていた本が届いた。 『金時計』 P・アルテ 行舟文化 素晴らしい。おまけの小冊子「花売りの少女」も付いている。 ●今月の総括。 買った本:十二冊 読んだ本:十冊 買う方は、文フリと予定外の本とで数が増えてしまった。読む方は、細切れのつまみ…